※インタビュー当時の役職
クラウド型ストレージサービスとは一線を画するBoxが、日本企業の生産性を向上させる。
クラウド型のストレージサービスが数多く登場するなか、「Box」は高度なセキュリティと豊富なエンタープライズ向け機能を備えた、あらゆる規模の企業のニーズを充たす、クラウドベースの最先端のオンライン・コラボレーション・ツールだ。『Box』は単なるクラウド型ストレージサービスとは異なります。ファイルの同期・共有にとどまらず、どこからでも、どんなデバイスからでも安全にファイルの編集・加工ができるワークスペースを提供していることが最大の特徴。『コラボレーション』『モビリティ』『プラットフォーム』が、『Box』のキーワードです」と、ボックス・ジャパン代表取締役社長の古市克典氏は話す。
クラウド上でファイルを共有する場合、常に問題になるのがセキュリティだ。その点「Box」は、クラウド上にアップロードするコンテンツを暗号化するだけでなく、そのコンテンツに対して、 いつ誰がどのような処理をしたのか、全ての記録を取っている。さらに、ユーザーによってアクセスできるファイルや操作内容を制限するなど、7段階のアクセス管理が可能。最下層の権限はファイルのアップロードだけで、他のファイルの閲覧はもちろん、アップされているファイル数もわからないため、採用活動や入札などにも応用できる。
P&Gやトヨタ米国法人をはじめ、すでに世界で万社以上が導入している「Box」だが、大容量のファイルを扱う建設業やメディア関連、さらには個人情報を取り扱う金融機関や病院などでも活用が進んでいるという。そこでカギとなるのが、サービスの使いやすさだと古市社長は強調する。「通常、セキュリティを強固にすると利便性が損なわれるものですが、『Box』はその両方を兼ね備えています」
企業内で使われているERPをはじめとするソフトウエアとの連携が容易なことに加え、OneCloudと呼ばれる、連携アプリが1000以上動く。ファイルへの電子署名や、プレゼンテーションの見栄えをよくするアプリなど多彩なラインナップが揃っている。
国内ではすでに3社の営業パートナーと活動を進めているが、アプリ開発パートナーやシステムの開拓も急務。そうしたねらいもあって、大企業が集積する丸の内を選んだという古市社長。さらに単なるオフィス提供だけでなく、日本市場展開をサポートしてくれる点もEGG JAPANを評価している。
「国内市場が飽和状態で、高度な成長も期待できないなか、日本企業にはこれまで以上の生産性向上が求められています。その手段の1つがITであり、『Box』はそうしたニーズに応えて日本企業を支援していきたい」と話す古市社長。まずは、「Box」を多くの日本企業に知ってもらうと同時に、開発パートナーの協力を得て、日本のユーザーに合った形に変えていくことが今後の目標だと意気込みを語った。
スピードとは「先見性」
世の中の少し先を行くこと、新しいことに常にチャレンジしていくことではないかと私は思っています。そういう意味では、“速さ”ではなく“早さ”ということになるのかもしれませんが、とにかく好奇心をもって挑戦し続けることが大切です。
日経ビジネスアソシエ2014年5月号 別冊付録「MARUNOUCHI THE PRESS」内から抜粋し、再編集したものです。
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カメラマン:小林大介
ライター:新井幸彦
古市 克典氏
1985年、京都大学経済学部卒業、ロンドンビジネススクール修了(MBA)。NTTでシステム開発、海外投資、事業計画作成などを担当。米系大企業、ベンチャー企業、経営コンサルティング会社を経て、日本ベリサインの社長に就任。2013年8月よりボックス・ジャパン代表取締役社長。
2005年に米国で設立された「Box」の日本法人。単なるクラウド型ストレージサービスとは一線を画し、
高度なセキュリティを備えたオンライン・コラボレーションを提供。
すでに米国を中心に世界11万社以上、2500万人以上のユーザー数を誇り、全米上位500社の総収入に基づいてランキングされた「Fortune 500」のうち99%が何らかの形でBoxのサービスを活用しているという。
日本法人は2013年8月に設立され、3社の営業パートナーも加わり、すでに国内でも多くの企業が導入を進めている。